はじめに
この記事では「反応速度の温度依存性」について書く。
反応速度を支配する因子は主に4つある。高校化学で学習したはずだ。
※反応物の濃度・温度・触媒・表面積
そんな反応速度を支配する1つの因子である「反応温度」について特筆する。
何度も言っているが、化学反応の速度は、反応温度により大きく依存している。
換言すれば、化学反応の速度は、温度変化に極めて敏感である。
というのも、感覚として「高温領域では反応速度は大きいが、低温領域では反応速度は小さい。」と分かるはずだ。
こういった感覚を、より確実な論理へとグレードアップさせていこう。
アレニウス式
早速であるが、アレニウス式という概念を導入させていただく。
「反応速度の温度依存性」といえば、「アレニウス式(Arrhenius式)」といっても過言ではないくらい、本記事の主人公となる概念だ。
「アレニウス式(Arrhenius式)」は素反応過程の反応速度の温度変化を明らかにしてくれる
以下が、いわゆる「アレニウス式」である。
$$
\displaystyle
k=k_0e^{-E/RT}・・・①
$$
\(
k:反応速度定数\\
k_0:頻度因子(frequency \ factor)\\
E:活性化エネルギー(activation \ energy)[J/mol]\\
R:気体定数[=8.314J/(mol \ K)]\\
T:絶対温度[K]\\
\)
注意点としては、ネイピア数:e の指数部分においては単位が全て分母・分子で相殺されるということである。
ゆえに、反応速度定数:\(k\) と頻度因子\(k_0\)は同じ単位を持つ。
ただし、以下の記事でも述べたが、反応速度定数:\(k\)には決まった単位はない。
すなわち、反応速度定数:\(k\)の単位が変わるのに伴い、頻度因子\(k_0\)の単位も変わる。
・・リンク しばしお待ちを・・
この式は、温度と反応速度定数:\(k\)の関係式であることが分かるだろう。
以下の画像を参照してほしいが、温度上昇に伴い、反応速度定数:\(k\)が増大することがアレニウス式より判明する。
後は、反応速度の定義式より、反応速度が大きくなることが数式からも明らかになる。
・・画像・・
アレニウスプロット
さて、ここで非常に大切な操作を覚えてほしい。
それは、「アレニウス式(①式)の両辺の自然対数をとる」という操作だ。
もう一度。
「アレニウス式(①式)の両辺の自然対数をとる」
すると、以下のような式が出現する。
$$
\begin{align}
\displaystyle
\ln k &= \ln {k_0e^{-E/RT}} \\
&= \ln k_0 -\frac{E}{RT}(\ because \ \ln e =1)\\
&= -\frac{E}{R}\frac{1}{T}+\ ln k_0 ・・・②
\end {align}
$$
こうして出来上がった②式は以下のグラフに直結する。
頻度因子\(k_0\)と活性化エネルギー\(E\)を決定するための頻出な実験手順を以下の画像とともに明示しておこう。
反応温度を変化させて反応速度定数を測定し、\(\displaystyle \frac{1}{T}\) に対して\(\ln k \)をプロットする。
すると、傾き:\(-\displaystyle \frac{E}{R}\)・切片:\(\ ln k_0 \)の直線が得られるのだ。
アレニウス式の問題パターン
アレニウス式には問題パターンが3パターンある。
それぞれアレニウス式の代表的な問題である。
以下の記事にて、例題を用意してあるのでぜひ解いてみてほしい。
・・りんく・・
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